清木場俊介「東京」

ついに始動!清木場俊介自主Label<UTAIYA RECORDS UNITED> 清木場俊介「東京」2018.09.14 配信開始

俺が俺で在り続ければ 俺が俺を見捨て無ければ
辿り着く場所が何処だろうが 構わねぇさ!
生きて逝けるさ! 諦めるにゃ早すぎる…。
清木場俊介

Digital Single

「東京」

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「東京」RECORDING REPORT
Text by 藤井徹貫

 夏色の空と白い日差し。東京は世田谷。閑静な住宅街に溶け込み、隣人さえもそれと気づかぬレコーディングスタジオがある。清木場俊介はCRAZY JET仕様にカスタマイズされた黒いバイクでやってきた。街路樹の青葉が繁る遊歩道を横切ると、そのままコンクリートの打ちっ放しのガレージに駐車。

 お世辞にも広いとは言えない地下のレコーディングスペース。が、この日はボーカル・レコーディング。ミュージシャンもいなければ、楽器もない。広さより音。量より質。以前、1度か2度使ったことがあるらしく、清木場の「あそこの音、良かったな」の一言で、この日はここに決まったそうだ。

 驚いたことに、広くもないのに壁際には、約20台のギター・アンプが揃えてある。近年、こういうスタジオはほぼない。というのは、コスパの問題だ。ノートパソコンほどの大きさのアンプシミュレーターがあれば、世界中のどのアンプの音だろうと、デジタル技術で再現できるのだから。置き場所も必要で、メンテナンスの手間もかかる実物を揃えるなんて非合理的と言わざるを得ない。

 ただし、アンプシミュレーターの音はあくまでも仮想でしかない。時と場合によっては、仮想の音のほうが断然便利だが、たとえ不便であっても、たとえ圧倒的にコスパが悪かろうが、実在の音にこだわりたい、このスタジオの声なき主張が清木場の一言を導き出したのかもしれない。 さらに驚いたのは、清木場の行動。レコーディングスタジオに入ると、まずは腰を落ち着け、しばし談笑するのがミュージシャンの常。その「しばし」が往々にして「しばらく」になり、やがては「しこたま」になるのも音楽業界のあるあるだ。確かにその時間を集中への助走、いわゆる余白と捉えるか、集中からの逃避、いわゆる無駄と捉えるかは難しいところだが、清木場はダラダラしない。ものの5分だった、世間話をしたら、すぐにレコーディングの手順など、この日の具体的な話題に入った。

「よっしゃ、唄うで」

 自分の集中スイッチをONにするように言うと、一人でボーカル・ブースに向かう。まずは喉のウォーミングアップを兼ね、1回唄ってみる。するとミキシングルームにいた川根来音がエンジニアに「最初から録っておいてください」とすかさずリクエスト。さすが清木場のレコーディングに欠かせない戦力だ。ウォーミングアップだ、試しだと言っても、もの凄い唄が飛び出してしまう可能性もあるからだ。しかもLIVE HOUSE TOUR 2018 “RUN & RUN”開幕間近だったので、フィジカルは仕上がっていたから、なおさら先頭打者初球ホームランの可能性もあると、川根は心得ていた。

 実際、清木場の唄は半端なかった。どう唄うか、具体的なイメージが完全に出来上がっていた。声を張り過ぎず、かと言って、喉の力を抜き過ぎない、微妙な塩梅を保つ。目を閉じて聴き入っていると、どこからともなく男の姿が現れる。スカジャンを着て、両手をジーンズの前ポケットに突っ込み、肩をすぼめ、大都会のビルの谷間を風に向かって歩く男の姿だ。シケタた面(つら)で、太陽を背にして歩いている。

「ちょい、声がひっくり返りそうになったところがあったから、もう1回」

 大筋では、自分のイメージどおりに唄えているようだ。モニター(ヘッドホンの中)の音のバランスも問題ないらしい。再びイントロが流れる。体をゆっくり揺らし、リズムと溶け合う。♪働き詰めで…。最初から歌詞の一字一句までが聴き取れる。そして、あの男がまたもや姿を現した。♪東京に降り積もる…。男の背景も鮮明に浮かび上がる。

 ボーカルをレコーディングするときの清木場は怖ろしいほどの集中力を発揮する。名刀あるいは宝刀と言われる「村雨」を語るとき、抜けば飛び散る氷の刃、と言われるが、まさにそれ。研ぎ澄まされた鋭さだ。♪俺が俺で在り続ければ…。その結果、わずか3テイクで終了。唄い屋の実力も技量も知っているつもりだったが、事実はそれを軽く上回っていた。

 この日レコーディングした「東京」は、RUN & RUN終演後のBGMとして、各会場で流されていた。9月からの後半戦でも、そのまま流されるか否かは、今のところ未定だが、ライブが終わってからも、是非足を止め、耳を傾けてみて欲しい。もしかすると…。